体温は体調だけではなく、病気の予防にとっても非常に大切です。
体温が低いと細胞の働きが十分にならないのでエネルギー不足になり疲れやすくなったり、脂肪を燃焼できないので太りやすくなったり、免疫力も十分に働かないので通常は細胞分裂でエラーが起きた時にエラー細胞を自分の免疫細胞が処理してくれますがその機構の働きが鈍くなり、がん細胞が溜まれば癌になるし、脳で不要なタンパク質が溜まれば認知症になるし、というように体温が低いと良いことはありません。
では体温はどのようにして作られるのでしょうか。
体温を作る3つの要素
- 代謝による熱産生
- ふるえによる熱産生
- 非ふるえによる熱産生
ではこの3つは具体的にはどのような仕組みなのか見ていきます。
代謝による熱産生
この熱産生は、私たちが摂取する栄養素から作られます。
栄養を摂ると、それが数多くの酵素によって細かく分解されて、分解されきった所で腸から吸収されます。
腸から吸収された栄養素は血流によってそれぞれの細胞へ運ばれて、細胞の中で栄養素を代謝してエネルギーを生み出すための反応を起こします。この反応の過程で約70%はエネルギーになり、残りの約30%は熱になります。
代謝の役割はは栄養を十分に吸収して不要なものを排出するのですが(よく耳にする新陳代謝をイメージしてください)、この第一目的の中で副産物として熱が生まれてくるのです。
だから、あまり食事を摂らない、あるいは摂れない人は冷えたり低体温になりやすいということはお分かりいただけると思います。
ふるえによる熱産生
ふるえは寒い時に誰しもが勝手にやっていることだと思います。まさにそのまま「ふるえる」ことによって熱を作り出しています。
ふるえているということは、筋肉が収縮しています。(このことをシバリングと言います。)
本来は筋肉というものは動かしたい動作によって、その動作に必要な筋肉が収縮して、その筋肉と拮抗する筋肉は弛緩して一連の動作が完了するのですが、ふるえに関してはどちらの筋肉も収縮するために動作をするためのものではなく、熱を生み出すためだけの動作となります。
筋肉が収縮して熱が生み出されるのですが、この事から筋肉の収縮力によって熱の生み出す大きさが変わります。
これは当然、筋肉の収縮力が高い方がより多くの熱を生み出しますので、筋肉がある人の方が当然ながら熱も沢山生み出せます。
なので筋力がない人や細身の人は体が冷えやすいということもあります。
(体格による冷えは脂肪細胞なども断熱に関わるので、筋肉がある人でも細い人だと冷えやすいということもあります。)
非ふるえによる熱産生
こちらは読んでそのまま、先ほどの筋肉のふるえではない要因で熱を作ることを言います。
この熱産生で主に関わってくるのは脂肪細胞です。
私たちの体には働きが全く異なる2種類の脂肪細胞が存在しています。
一つは白色脂肪細胞で、もう一方は褐色脂肪細胞です。
白色脂肪細胞は細胞内に栄養を脂肪として貯蓄します。これは一般的なイメージの脂肪です。
褐色脂肪細胞は脂肪を分解し、熱を産生することで体温の調節をします。この褐色脂肪細胞が非ふるえによる熱産生と大きく関わっています。
寒い環境の中では自律神経の一つである交感神経の活動が高まり、交感神経からはノルアドレナリンが放出されます。その放出されたノルアドレナリンに褐色脂肪細胞が反応して活性化し、熱を作り出します。
今までは褐色脂肪細胞は乳児期に存在して、成長する過程で消退するとされていましたが、近年では大人になっても肩甲骨の周りや背骨の周りに限り存在していることが明らかになってきました。
褐色脂肪細胞は熱を生み出すミトコンドリアという小さな細胞が沢山存在しています。
そのため、多くの熱も生み出されますし褐色に見えるということから褐色脂肪細胞とも名付けられています。
まとめ
体温を上げる仕組みをお話ししましたが、いかがでしたでしたか?
私たちの体は、体温を上げるには様々な生体反応があることがお分かりいただけたと思います。
体温を上げる仕組みを理解した上で、体温を高める方法を行えばより一層効果を高められると思いますので、既に何か実行されている方はこんな仕組みがあるのだなと思いながらやってみてください。
体温を効果的に上げる方法については次回にお伝えしていきます。