食物繊維と聞くと野菜やキノコ類、フルーツなどをイメージすると思いますが、そもそも食物繊維って何?っていう所からお話しします。
食物繊維とは
人の消化酵素によって消化されにくい、食物中の難消化性成分の総体
ウィキペディア(Wikipedia)
上記に定義されているように、食物繊維って消化されない食べ物の総称です。
では、消化されないってことは体にとって栄養にならないけれど、なぜ必要なのかと疑問に思いませんか?
そこで食物繊維に働きについて見てみましょう。
食物繊維の働き
便の容量アップ (かさ増し)
大腸において食物繊維は水分を吸収して便量を増やします。
これは何が良いかというと、排便をする時には排便反射という条件反射が起こるのですが(条件反射とは、例えば熱湯に手を入れると意識しなくても手を引っ込めるような現象)、排便反射が起こるには一定量の便量がないと起こりません。
排便反射が起こるには腸に便が溜まると腸の神経を通して脳へ情報が送られて、再度脳から腸へ不用物は排出しなさいという指令が出て排便反射が起こり便が出ます。
不要物の掃除
食物繊維は腸を掃除するとよく耳にすると思います。
食物繊維は冒頭に書いてあるとおり人間の酵素では消化されないので、そのまま腸へ運ばれます。
腸に不要物が長い時間とどまると炎症やガンなどの病気の元になりますが、それらを吸着ワイパーのように絡みとって便として外へ排出するので病気の予防にもなります。
内臓への負担を軽減
私たちは小腸で栄養を吸収しているのですが、食物繊維の作用によって小腸での栄養の吸収を穏やかにできます。
栄養は素早く摂った方が良いんじゃないの?って思うかもしれませんが、栄養(特に糖分)を早く吸収してしまうと血糖値もめちゃくちゃ上がってしまいます。血糖値が上がると膵臓からインスリンというホルモンが出て血糖値を元の数値まで下げるように働きます。
ただし!急激な血糖値の上昇は、インスリン分泌が過剰になり過ぎて結果的にいつもの血糖値よりも下げてしまうことになってしまいます。
血糖値は何でもかんでも下がれば良いわけではない!
血糖値は一定量は必要です。血糖値が高いと糖尿病になり色々と問題になりますが、低くても低血糖という状態になり眠気や倦怠感、冷えなど身体活動に影響を及ぼしてしまいます。
糖分は生命活動においてとても重要な役目があるので、下がり過ぎても良くないのです。
血糖値 | インスリン分泌 | その後の血糖値 | |
吸収が早い | 急上昇 | 過剰 | 本来の数値より一時的に低下する |
吸収が穏やか | 緩やかに上昇 | 適量 | 本来の数値になる |
食物繊維によって血糖の急上昇を緩和できれば、穏やかに血糖値が上がり適量のインスリンが分泌されて、その後本来の血糖値まで下がっていきます。
高血圧や心臓、脳など血管系の病気の予防にも良い
その他、血糖値以外にも腸内にある過剰分のナトリウムを包み込んで排出します。ナトリウムの詳細についてはまた別の機会にお話ししますが、ナトリウムは結果的に血圧の調整に大きな影響を及ぼすので、過剰なナトリウムがあると高血圧のリスクが高まります。食物繊維はこのナトリウムの排出にも一役かっています。
また、コレステロールにおいても不要分を吸着させて排出する働きもあります。コレステロールはみなさんご存知の通り、あまりにも多い状態が続くと動脈硬化に繋がり、それが二次災害的に脳や心臓の血管系の病気へ繋がることが指摘されています。
特に家族歴(自分の直系の身内の中で)で血管系の病気をしている人がいたら、それらの病気は遺伝も関連しますので同じような病気になるリスクは高まります。そのため、コレステロールのコントロールも大切になります。食物繊維はコレステロールの不要分も吸着してくれるため、不足がないように摂取しましょう。