ストレスと海馬

ストレスは私たちの体にとって非常に多くの反応を生み出します。

ストレスは少々のものであればスパイスになり必要不可欠の要素でもありますが、大きなストレスや長引くストレスは当然ながら良い影響はありません。

ストレスと脳の関わりについてはこちらをご覧ください。

上記の記事ではストレスを受けた時に大きな影響を受ける前頭前野という脳の領域でのことをお話ししていますが、今回は実はストレスに一番弱いとされている海馬という脳の領域についてお話をしていきます。

海馬とは

海馬とはおよそ小指ほどの大きさで、大脳辺縁系と呼ばれる領域の一部に属しています。

海馬は、ギリシャ神話で登場する海馬という海獣に形が似ていることから名付けられました。

主な役割としては多くの人が知っての通り、記憶に関わるものです。

海馬と記憶に関わるエピソードは1950年代まで遡ります。1950年代にある人物がてんかんの治療目的で海馬を取り除くという治療を受けました。するとその後から新しく入った情報を海馬そのものがないために海馬から大脳皮質へ送ることができないため、長期に留めておくという長期記憶の能力が全くなくなってしまったのです。このことより以降多くの研究がなされ、記憶と海馬の関係性はほぼ確実であろうという事に至っています。

海馬は新い情報を一時記憶して、繰り返し入ってくる情報は重要な情報と判断して大脳皮質へその情報を転送して、大脳皮質で長期記憶として保存されます。

海馬はとても弱い

海馬はてんかん発作において、最も閾値が低いために発作が起こりやすいと言われています。(閾値とは現象が発生するまでのボーダーラインです。例えば30と60の閾値があるとすると30でボーダーラインに到達して現象が発生するので閾値が低い、60ではそこまで到達しないと発生しないので閾値が高いということです)

これは閾値が低く、少しのことで高い反応性を示すことであり、簡単に言えば敏感であると言えます。

なぜ海馬は弱いのか

海馬も当然脳の一部でありますが、通常脳神経は年齢とともに減っていくと言われていましたが、最近の研究では海馬に限っては生涯、神経細胞を生み出すことが分かり減少することはないと言われるようになりました。

ただ、ストレスを受けると脳の下垂体という部分から副腎へストレス対抗ホルモンであるコルチゾールを作りなさい、という指令が出ます。その結果、副腎でコルチゾールが作られて血流で運ばれて脳へ到達し、さらにそれが海馬の神経細胞へ到達すると神経を作る過程が阻害されて新い神経細胞を生み出す能力が低下してしまいます。

また、ストレスの程度が大きかったり、長い期間ストレスにさらされると、海馬においてはやがて神経細胞自体が壊されて神経細胞の数が減るために萎縮してしまい、海馬自体の萎縮へと繋がってしまいます。

海馬が萎縮すると

海馬が萎縮してしまうと海馬本来の機能が十分に果たせなくなるために、海馬の主な働きである記憶に悪影響が出てきます。

海馬は一時的に新しい情報を記憶しているために、その記憶力が低下して物忘れなどが現れます。

また、その状況が続くと脳のシステムでは繰り返し入る情報は大切な情報とみなして、海馬から大脳皮質へ転送してそこで長期記憶として保存するのですが、海馬の機能が低下すると一時的な記憶をすることに影響が出て、その情報が大脳皮質へ転送されにくくなるため長期記憶にも影響が出てきます。

ただ、ストレスにおいてこのような状況にあるならば、ストレスをできる限り取り除ければ、海馬の神経細胞は生涯に渡り生み出されますので、また新しい神経細胞が作られて機能が回復していくため、記憶障害や物忘れなどは一時的なものになります。

物忘れを防ぐには海馬を回復させる

ストレスによって海馬に影響があれば、当然短期記憶が悪くなり物忘れをするようになります。

病気で萎縮する場合はまた別の話になりますが、ストレスによって一時的に物忘れが出ているならば下記の方法を実践すると海馬の機能に良い影響が出るとされています。

40分以上の散歩

運動をすることは海馬だけではなく、脳全体や内臓にも影響があります。

特に1日に40分以上の散歩をすることで海馬の神経細胞は増えるとされる研究結果もあります。

40分の散歩となるとそこそこの距離や時間が必要になりますが、休日など空いた時間に脳やストレスのリセットだと思い散歩をするのも良いでしょう。

新しいことをやってみる

今までやったことのないこと、あるいはあまりやらないことは、いつもと違う体験になり感動という体験になります。

これはいつもと違うことをすれば良いです。

例えば、身近で簡単なことで言えば通勤の道を変えてみる、食事内容を変えてみる、枕の位置を変えてみる、アロマなどを炊いてみるなどはすぐに簡単にできることでしょう。

もう少し大きな変化で言えば、趣味でゴルフやテニスなどをすることや、日帰りでも構わないので行ったことのない土地へ行ってみたりするのも日常とは異なる体験のため感動の要素となるでしょう。

EPA、DHAを摂取する

主に青魚に含まれるEPAやDHAという成分には、脳神経では抗酸化作用で細胞破壊を防いだり、脳での神経細胞同士のやり取りをスムーズにしたり、脳細胞自体を活性化させたりします。

また、脳神経の再生にも関わる成分とされているので、脳の神経細胞にとっては十分量を欲しい成分ですね。

EPAやDHAは主に青魚に含まれていると言われますが、具体的には以下に多く含まれています。

EPA含有量 (100gあたり)
ノルウェーさば 1.7 g
イワシ缶詰 1.3 g
マイワシ 2匹 1.2 g
さば缶詰 1.1 g
DHA含有量 (100gあたり)
ノルウェーさば 2.7 g
ぶり刺身 1.7 g
マイワシ 2匹 1.5 g
イクラ 寿司2個 0.4 g

まとめ

以上、ストレスに関連する物忘れをお話しして、海馬を回復させるための方法も食事や運動からお伝えしてきました。

もし、最近物忘れが多くなってきたなと感じたら、直近のストレス度合いや、どれくらいの期間ストレスにさらされているかを見つめ直して、もし思い当たる節があれば海馬を元気にさせてあげるために色々と実践してみましょう。

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