メラトニンと睡眠

皆さんは寝つきが悪い、眠れないなどの睡眠に関する問題を抱えたことはありませんか?

睡眠が悪くなると疲れが取れないばかりか、各病気にもつながることもあるため、睡眠障害はできるだけない方が当然良いのですが、ではなぜ私たちの体は眠れないという事態が起きるのでしょうか。

そこにはメラトニンというホルモンがとても影響しています。このホルモンの名前は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

そこで、メラトニンについてもう少し詳しく見ていきましょう。

メラトニンとは

メラトニンとは脳の松果体という場所から分泌されるホルモンです。

このホルモンは人間から下等動物まで、季節のリズムや一日の概日リズム(サーカディアンリズム)を調節する働きがあります。

(下等動物とは、進化の程度が低いとされる動物で爬虫類や両生類、魚類などのことをいいます。)

メラトニンの特徴

メラトニンは体内時計に働きかけて、覚醒と睡眠の切り替えを行って自然な眠気を誘発する役割があります。

メラトニンは直接的に睡眠と関わっていると思われがちですが、メラトニンは体を睡眠に適した状態に持っていくため実際はメラトニン=睡眠ではなく、メラトニンの作用の一部である深部体温の低下を受けて、体は自然と眠りにつく状態になっていきます。

もしメラトニンが睡眠と直接的に関連しているのならば、メラトニンと似た構造の薬がすでに開発されていて睡眠障害の人の多くは解決されているでしょう。

メラトニンには催眠作用があるため、欧米では睡眠薬としてドラッグストアなどで販売されており、日本でもインターネットで並行輸入が可能です。しかし、一般的にメラトニンの催眠作用は弱く、寝る前に服用しても寝つきは若干良くなるものの、不眠症の改善効果は乏しいことが分かっています。

厚労省 e-ヘルスネットより

上記の内容を見る限りでも、メラトニンは睡眠ホルモンと呼ばれていますが、あくまでも睡眠への準備を整えるものだということがわかります。

メラトニンの作用

起きてから太陽の光を浴びると、目の網膜から入る光の刺激によって、それが体内時計を通過して松果体に届きます。

メラトニンは明るい光によって分泌が低下するため、日中はメラトニンの分泌が抑えられているので体は覚醒状態になりますが、太陽が落ちて夜になり光刺激がなくなると分泌量が数十倍にも及ぶとされています。この現象が日内変動というもので、概日リズムとも呼ばれています。

そこで疑問に思うのは、一日中暗い場所にいたり、曇りや雨の日、日照時間に大きな差がある地域の人たちではメラトニンの分泌はどうなるのかということですが、実はメラトニンは体内時計と環境光の両方から影響を受けています。

そのため、例えば一日中暗い部屋にいたとしても体内時計からの調節も受けているため日中のメラトニン分泌量は低くなりますし、反対に夜に強い光を浴びていても分泌量は低下していきます。

このように一日の中での自然な体内リズムのことをサーカディアンリズム(概日リズム)と呼びますが、サーカディアンリズムとは一体どのような仕組みなのでしょうか。

サーカディアンリズムとは

サーカディアンリズムとは、視交叉上核という脳の視床下部の一部から約25時間周期のリズム信号が発信されていて、それに伴ってホルモンや体温の調節などを行う一日の一連の変動の様子をいいます。

サーカディアンリズムは光や温度の変化がない安静な状態を保っても見られることより、この仕組みが解明されました。

ただ、人間のサーカディアンリズムは先述の通り約25時間周期のため日数が経過するにつれて本来はズレが大きくなるはずですが、リズム信号を外界の24時間周期の明暗周期に一致させるシステムが備わっており、これを同調機構と呼びます。

この同調機構のおかげで、季節の変化や、明暗周期の変化に体内時計を合わせることがでいます。時差を経験したことがある人は、時差の地域へ行くと2~3日でその地域の時間に体が慣れると思いますが、それが同調機構の一つです。

これらの一連の仕組みをサーカディアンリズム(概日リズム)であり、体内時計の仕組みでもあります。

睡眠との関連はあるのか

メラトニンや、一日の体内リズムの仕組みであるサーカディアンリズムについてお話ししてきましたが、結局のところ睡眠とどのような関係があるのかというと、やはり体内リズム通りに過ごしていくことが結果的にメラトニン分泌にも関わって睡眠に良い影響が出ます。

これまで述べてきたことから考えると、朝日を浴びることで目から脳の体内リズムを作り上げている場所へ入力が行き、その結果メラトニンの分泌が抑えられると同時に体内時計と外環境との時間が同調していき、日中活動してやがて日が暮れるとメラトニン分泌が多くなり体内時計も休息を取る方向になる、ということです。

朝日を浴びる
⇩
目の網膜から光刺激が視交叉上核へ届き、メラトニン分泌が抑制されて、体内時計と外環境の時間が同調する
⇩
日中活動する
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日が暮れるとメラトニン分泌が増えてくると同時に、体内時計も休息へ向かう準備をする
⇩
メラトニン分泌により深部体温が低下して、眠りにつきやすい体の状態になる
⇩
睡眠へ

上記の流れを踏まえると、やはり朝起きてから太陽の光を浴びるのは一日の活動に向けて体内時計をリセットするのに重要な行為といえますね。また、朝日を浴びると目が覚めるということも科学的な根拠があったのです。

さらに、太陽の光を浴びるとビタミンDの活性や、活動的になる神経物質の分泌も起こるため、これから一日を活動的に過ごすような体内モードへ切り替わります。

そのため、まずは朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びることから始めると、シャキッと良い一日のスタートが切れそうです。

夜眠れなかったり、寝つきが悪かったりする人は、日中の活動において体内時計の狂いも十分に考えられる要素ですので、朝一番に太陽の光を浴びて日中に日中らしい体内リズムへ持っていくことも肝要になりますので、まずはそこから実践してみてください。

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