こちらでは各種ビタミンの働きや必要量などをご紹介しています。
今回はビタミンDについてのお話です。ちなみに、ビタミンの概要についてはこちらの記事がありますので、ビタミンそのものについて興味がある方はご覧ください。
では、ビタミンDについて見ていきましょう。
ビタミンDとは
ビタミンDの主な働きは、腸管や肝臓でのカルシウムやリンの吸収を促すことです。(リンは約80%が骨や歯に含まれている骨格を作る大事なものです)
カルシウムやリンは私たちの骨格や歯を作るための大事なものです。これらが不足すると骨の密度が低くなり骨粗鬆症や、歯が脆くなって抜けてしまったりなどが起こります。
また、カルシウムは血管や筋肉を収縮させる働きもありますので、不足すると血管や筋肉にも影響が出てきます。
さらにカルシウムは神経伝達にも関わっていますので、不足してしまえば神経同志の情報のやり取りも鈍くなってしまいます。
一日あたりの必要量
ビタミンDは、紫外線によって皮膚表面にあるビタミンDの前駆物質が変化してビタミンDを生成するために、太陽の光を浴びる時間は食事から摂取するビタミンDの必要量に大きく影響してきます。
日照時間の多い夏場や、緯度の低い地域ではわざわざ摂取しなくとも必要十分量となっていることが多く、反対に冬場や日照時間が少ない地域では不足しがちになるため、食事できちんと摂取をした方が良いです。
男性
必要量 | 上限量 | |
18歳以上 | 8.5 μg | 100 μg |
65歳以上 | 8.5 μg | 100 μg |
1〜9歳 | 3.0〜5.0 μg | 3.5〜6.0 μg |
女性
必要量 | 上限量 | |
18歳以上 | 8.5 μg | 100 μg |
65歳以上 | 8.5 μg | 100 μg |
1〜9歳 | 3.5〜6.0 μg | 20〜40 μg |
妊娠中 | 8.5 μg | – |
授乳中 | 8.5 μg | – |
女性において、妊娠中や授乳中はデータによる設定値を設けることが難しいために規定はありませんが、必要量程度の量を摂ることが望ましいとされています。
過剰に摂取した場合
まず始めに、ビタミンDは皮膚表面の前駆物質が紫外線を浴びることでビタミンDとなることはお伝えしましたが、この仕組みにはビタミンDを作る量が調節されているため、紫外線をたくさん浴びたとしてもビタミンDが過剰に作られることはありません。(もちろん皮膚ガンなど他の疾患の原因にはなりますが)
また、ビタミンDは肝臓や腎臓で活性化されて本来のビタミンDとしての働きをしますが、血液中のカルシウムの量が多くなるとそれ以上は活性化しないようにこちらでも調節を受けています。
ビタミンDを摂りすぎているかどうかは、血液中のカルシウム濃度が高くなる高カルシウム血症がみられるかが判断基準となっています。
また、量の調節を受けているとしても摂りすぎてしまうと以下のような症状が出てくるとされています。
- 高カルシウム血症
- 腎障害
- 軟組織の石灰化障害
- 乳児においての成長遅延
高カルシウム血症は、初期症状として便秘、吐き気、嘔吐、腹痛、食欲不振などが現れます。
乳児においての成長遅延とありますが、この研究データは少なすぎるために可能性として記載されているだけで、他の症状とは意味合いが異なりますのでそこまで気にし過ぎなくても大丈夫そうです。
不足した場合
ビタミンDは前述した通りカルシウムやリンの吸収に関わるため、不足するとカルシウムやリンの吸収が悪くなり結果として以下の疾患につながるとされています。
- 骨軟化症
- くる病
- 骨粗鬆症
カルシウムやリンは骨の石灰化を行い、骨を丈夫にするために必要なものです。それが不足すれば、骨の構成に影響が出て形成不全や痛みが現れてくるようになります。
また、骨の成長がある一定レベルまで達した後に現れるものを骨軟化症、達する前に現れるものをくる病と呼びますが、いずれも同じ病態です。
ビタミンDが多い食品
ビタミンDは魚類やキノコ類に多く含まれています。反面、野菜や穀物、芋類などにはほとんど含まれていませんので、魚やキノコを積極的に摂ると良いでしょう。
サケ 1切れ 80g | 25.6 μg |
イワシ丸干し 1匹 30g | 15.0 μg |
サンマ 1匹 100g | 14.9 μg |
カレイ 1匹 100g | 13.0 μg |
ブリ 1切れ 80g | 6.4 μg |
シラス干し 大さじ2杯 10g | 6.1 μg |
きくらげ 2枚 2g | 1.7 μg |
干し椎茸 2個 6g | 0.8 μg |
椎茸はエルゴステリンという成分を豊富に含んでいて、この成分は紫外線を浴びるとビタミンDに変化するため、生の椎茸よりも干した椎茸の方がビタミンDをより摂れます。
まとめ
今回はビタミンDについてその働きや、一日に必要な量をお話ししてきましたが、いかがだったでしょうか。
ビタミンDは骨や歯を丈夫にする働きがあるため、骨格を作り上げる上では欠かせない重要な要素ですね。
特に女性は年齢を重ねるとホルモンの影響で骨密度が低下しやすいため、ビタミンDのサポートも大切になってきます。
ビタミンDは食事だけではなく、紫外線を浴びることで作られる珍しいタイプのビタミンですので、冬季や日照時間の少ない地域、仕事などで紫外線を浴びる機会がないという人たちは、意識的に太陽の光を浴びるようにもした方が良いでしょう。
他のビタミンについてもまとめてありますので、ご興味があればぜひご覧ください。