最近めまいの症状をお持ちの方が大変多いです。当院だけ偶然なのか、あるいは他でもそうなのかは分かりませんが、とにかくめまいを訴える患者さんをたくさんみます。
今回はめまいについて当院での考え方や治療方法を書いていきますので、めまいにお悩みの方がいましたら参考にしてみてください。ちなみにめまいの詳しい病態や機能的なことに関しては、めまいを検索すれば数多くの解説されているサイトがありますのでそちらをご覧になってください。
めまいについて、まず当院ではおおまかに二つのタイプに分けます。
めまいに加えてどのような症状があるのかを尋ねて、例えば耳鳴りや難聴、吐き気、頭痛など、あるいは既に病院を受診しても特定の原因がわからないもの(大抵はこのパターン)は三半規管周囲の問題として、それらを元に東洋医学的な考え方で人それぞれのタイプを見極めていきます。
もう一つのパターンは小脳をはじめ脳や耳の神経などに腫瘍があり、それによってめまいが出ているものです。これはめまいに加えて自分が意図せずに突然嘔吐してしまうような特徴的な症状があります。また先ほどのパターンは機能的な問題なのに対してこちらのパターンは物理的な問題なので、日によって症状の程度が異なったりある時は良いけれどある時は調子が悪いなどの波があまりなく、物理的に常に影響を受けていますので基本調子が悪く症状もいつもあるような、調子が悪いこと自体がベースになっています。
後者の場合は鍼灸治療ではどうにもできませんので、病院で専門医により治療を受けて原因そのものを取り除くことが必要です。
前者の場合はほとんどの患者さんは耳鼻科などでステロイドやビタミン剤、血流改善薬などを処方されても良くならない事ばかりなので鍼灸治療が大いに役立ちます。また当院でも治療を施せば問題なく改善していくことをいくつも経験してますので問題ありません。
では当院における機能的なめまいの考え方を詳細にお伝えします。
まず第一に考えるのが脳血流量の低下です。
脳血流量が低下する要因としては、まず脳へ血液を届けるには心臓から出発した血液が滞りなく脳へ届かなければいけません。しかしながら頚椎(首の状態)が悪いと脳へ届ける血管を圧迫して血流量が低下することで脳や耳周囲の循環量が減ってしまい、それがめまいに繋がります。
興味深いことに脳へ血液を届けるいくつかの動脈のうちの一つである椎骨動脈は、そのまま首の所をまっすぐ素直に脳へ向かえば良いのになぜか首の上の方で大きくカーブを描きます。またこのカーブを描く場所の近辺が首こりを頻発するところでもあります。そのため首の状態が悪いと症状の改善が難しいため、どのようなめまいのタイプであっても(腫瘍などの物理的なものは除く)この部分は必ず改善させます。
そして次に治療することは東洋医学の真髄である人それぞれのタイプに分けた治療です。
細かな話をするとキリがないため大まかなことを言えば、肝や腎、脾といった主要タイプに対してどれに当てはまるかを問診で体質や過去の病歴、今の病気、趣味、嗜好、生活環境などを尋ねて予測して、実際に体を触診してその反応が出るポイントを探してその患者さんがどのタイプに属しているかを考慮します。
それからタイプ別の治療を施して、触診で見つけた反応ポイントが変化したかどうかを確認します。また当院の治療ではその反応ポイントの変化が瞬時に改善するため適切なツボに針が出来たか、効果のある治療が出来たかを患者さんの体で変化を捉えるためお互いに確認し合いながら進めていくので確実に改善が出来たかどうかが毎回の治療でわかるのもお互いのメリットです。
このような流れでの治療を何度か繰り返します。
過去の経験ではめまいに関しては軽い症状は2~3回、大抵は5~8回くらいです。もちろん上記の内容に加えて持病があったり生活環境が過酷であったり貧血や低血圧などの要件が合わさり治りにくい条件が重なると10回以上かかることも当然あります。ただほとんどのケースでは3~8回程度でそれなりに落ち着きます。
最後にめまいを抱えている方にして欲しいセルフケアは首をレンジでチンして温めるようなグッズで毎日20分程度、2~3回ほど温めることです。体質による部分は人によってアドバイスが異なるのでこちらでは言えませんが、どのような体質であっても首の問題は必ず解消しなければなりません。そのために首を温めて血流を改善させていてください。そうすれば治療を受ける機会がなくとも多少は改善すると思います。治療を受けている方は治療効果がさらに上がり改善も早くなります。是非ともやってください。ただ温めて気分が悪くなるようならば無理にやらないことです。
以上めまいについて当院での考え方を記しました。色んな先生方の考え方があると思いますので皆さんにとって少しでも参考になれば幸いです。





