原因のわからない症状を探究する理由
現代では医学が進歩し、検査ではMRIやCTなどの画像検査から血液や唾液などで昔と比べて随分と細かな病気まで見つけられるようになりました。それに伴い、多くの薬や治療方法が開発されて幅広いケアができるようになりました。
しかしながら、西洋医学は科学的な細分化された医療の側面があります。これは、例えばある研究を行い70%以上のもので効果があれば効果がある、となります。確かにその確立ならば100人いれば70人の人は治るでしょう。ただ残りの30人の人たちはどうなのでしょうか。
あるいは足が痺れる症状を抱えていれば、まず初めに整形外科を受診することでしょう。ただ、これが糖尿病が原因の神経症状だとすればいくら整形外科で腰や足のレントゲンやCT、MRIを撮っても異常は見つからないでしょう。このように細分化されたが故に、原因となる診療科にかからなければその分野で異常が見つからなければ手当がないのです。
このように現代では確率論での治療、細分化された医療で自分の症状に対して適切な選択がとても難しいのです。もし運よく適切な診療科目を受診できたとしても、エビデンス(研究成果)通りの治療を行なったところ改善がなされずに先程の話で100人のうちこぼれた30人に自分が入っていたとしたら、さらに手立てがなくなります。
そうして整体や鍼など様々なところを転々として、そこで良い先生に巡り会えれば結構ですが、未だに巡り会えずに治らず困っている方々のために全力を尽くしたいという思いで日々診療しております。
そのような方々は過去の症例や常識が当てはまることはあまりなく、治療する際には難しいことがほとんどです。ただ、それが改善して快方に向かった時のお互いの喜びはなんとも言えない、経験した人しかわからないものがあります。
当院が難題に挑む理由はそのような想いがあるからです。
どのような難しい症状でも、様々な視点を持ち必ずどこかに原因があると試行錯誤しながら今まで皆さんの難題と向き合って参りました。そしてこれからも皆さんが持って来られる難題に大いに挑む次第です。
目指す方向性
当院は冒頭にも示した通り、いくら検査をしても原因がわからないものや、治療の手立てがないもの、様々な治療を行なっても期待する効果が得られなかった、そのようなことでお悩みの方々のお役立ちができればと思っております。
鍼灸というジャンルは、現代科学で解明してもわからないことが東洋医学の視点を基本とし西洋医学や量子力学、物理学など様々な視点を用いることで原因を突き止めることができます。原因が把握できた以上は治療方法はいくらでもあるものです。
多くの場合は標準的な治療(投薬や注射、手術、リハビリ、マッサージなど)で改善します。これはエビデンスに基づく科学的根拠に当てはまる治療を行えば少なくとも60~70%以上の効果は必ずあるからです。そこで鍼灸師である私たちには何ができるかを考えました。エビデンスに基づく治療で治るものは医師にお任せすれば良いし、マッサージなどで治るものは理学療法士や整骨院にお任せすれば良い。ただ、それでも治らないものに着目してその方々を一人でも多く改善させていくことが鍼灸というものが多いに活用できると思いました。
これこそ標準治療である西洋医学を基礎とした国内における代替医療(標準治療に代わるもの)の大きな役割ではないでしょうか。また、そこに大きな価値があるのではないでしょうか。そのように考えております。
日本国内の医療においては鍼灸医学は西洋医療のように主流でもなく先立つわけでも目立つわけでもありませんが、それでも確実に必要とされている分野であると日々臨床の現場に身を置いて感じております。そのような方々に最善を尽くすことこそが真の鍼灸師であると私たちは信じています。