数週間前から右の股関節が痛くなり、マッサージや超音波の治療も受けたが一向に良くならないというケースです。
この時点で考えるべきことは、筋肉の問題ならば数週間も経過していれば治っているはずです。しかしながらある程度の期間を超えても、さらに治療を受けてもなお痛みが残る場合は、股関節の脱臼や骨折、変形など物理的な問題を除けば内臓や自律神経に問題があることがほとんどです。
内臓や自律神経といっても股関節の場合は腎に問題があることが多いです。腎が弱くなると腰やお尻が冷えて血流が悪くなり筋肉が硬くなった結果、股関節の動きも悪くなり負荷がかかり過ぎて痛みを引き起こします。
ただ、今回のケースでは腎の問題はおろか、他の内臓や自律神経の問題も触診をしてもあまり見当たりませんでした。
むしろ、股関節の運動に関わるお尻の筋肉の一部に強い張りが出ているだけで、そんなに長引くような症状ではないように思えました。
案の定、治療を進めていくと1本の鍼でほとんどの痛みが取れてしまい、合計2本の鍼でお尻の強い張りをはじめ、全ての固いところや痛む場所を取り除くことができました。
ここで一つ考えるべきことは、筋肉に問題があっただけなのに数週間も痛みが続くのは日常で何か原因のあるものがあるということです。
よくよく聞いていくと、最近パーソナルトレーニングを始めてスクワットをしているみたいですが、スクワットが今までよりも足を開きながら行うものに変わったそうです。
そのトレーナーに痛みを訴えるとストレッチが足りないからと言われただけだったため、特にトレーニング方法については気にしていなかったようです。
足を開くスクワットはモモの外側に負荷がかかりやすいため、その影響が股関節に及ぶことは多々あります。
そのため、スクワットは足を開き過ぎない方が良いとお伝えしました。代わりに鍛える場所は同じでも違うトレーニング方法を教えてもらうようにも言いました。
これらのように人によって原因はさまざまです。
トレーナーがどうとか、マッサージがどうとかいうわけではなく、いかに”人を診る”ということが大切かがお分かりいただけますか?
例え症状自体は単純なものだとしても、原因を把握して適切なアドバイスをしない限り治ることはないし、むしろ痛めることを続けていけばいつか怪我をしたりもっと痛くなります。
だからこそ、なかなか治らない症状の時にはしっかりと相談できる場所で体をみてもらうことは大切です。