今回は股関節が開かないという症例のお話をします。
昔に運動をしてる最中に内転筋の肉離れを起こして以降、股関節が十分に開くことができないという状態です。
確認してみると確かに右はきちんと開けますが、左はほとんど開けていませんでした。またこの状態が本人も当たり前だと思っていたようで、特に痛むこともあまりないためにそのままにしていたようです。
今回は来院したきっかけである肩や腰の痛みがなくなったため、股関節も治してもらえるかもと思い相談してくれたようです。
ちなみに股関節が十分に開かなくなって12~3年は経つそうで、かなりの長い期間であります。
まず触診で内転筋や股関節付近を確認すると、肉離れしたであろう箇所は硬結と言って組織が固まって出来るしこりのような塊がありました。それに加えて股関節を開いていくと内転筋を含めたモモの内側の筋肉が柔軟性を失っていて硬いため少し開いただけでロックがかかるような状態でした。
このようなケースではまずは柔軟性を失った硬くなった筋肉を緩めることから始めます。そして次に股関節の鼠蹊部というYゾーンにあたる箇所の詰まりなどを処置します。それらがきちんと処置することが出来れば、内臓関係が原因として絡んでいなければ改善します。
今回は内臓関係の問題がなかったため、モモの内側の筋肉を緩めて鼠蹊部の詰まりも取り除いたところで右と同じように十分に股関節を開けるようになりました。
私自身も本人も12~3年もの長い期間の症状のため何度か治療が必要かと思っていましたが、一度で改善できたのは驚きました。良い結果がすぐに出せて良かったです。
患っている期間が長いとしても本人の治癒力が高ければ案外すぐに良くなるものだなと今回の治療でつくづく感じました。
鍼灸を始めどのような治療でも結局は自己治癒力がキーポイントで、もともとそれが高い人は何かしらの要因で力が発揮できていないだけなので少し治療をするだけで本来の治癒力が発動して自分の免疫細胞などが活性化してすぐに治っていくし、反対にもともと弱い人は治療や生活習慣の改善をして少しづつ高めていくことが肝要です。
いずれにしても何か改善しない症状で悩んでいる人は(ガンや難病など重大な病気自体はまた別です)、全体を診察してもらえるような施設で治療を受けてみると良いと思います。自分では思ってもいない意外な要因を見つけてくれるかも知れませんよ。