今回の症例はこちらもよく遭遇する頭痛です。
約一週間前から頭痛が起こりそれ以来症状がなかなか落ち着かずに現在まで至る状況であり、実際に来院時にも頭痛ほどではないが頭がぼやっとするような感覚がありました。
頭痛以外にも首の痛みもありましたが、肩や背中の方までは痛みはありません。
ではこの頭痛は何が原因か考察しなければなりませんが、こちらの患者さんはもともと生理痛がひどいためピルを服用してコントロールしているため、おそらく子宮や卵巣の臓器をはじめとしたホルモンバランスの乱れが起因していると考えました。
では実際に腹診を行い子宮や卵巣の反応点を診ていくととても硬くなっており少し押しただけでも結構痛がっていました。それに加えてホルモンバランスの影響が出る鼠蹊部(Yゾーン)にはかなりの張り具合と痛みがある様子です。
また足の冷えがとても強いけれど手の冷えはなく頭に少し熱を持ったような感じのため、このような状態はほぼほぼホルモンバランスの乱れが起こっていると言えます。
そのためまず初めの処置は子宮や卵巣、鼠蹊部の状態を緩和させることから始めました。それらの反応点が改善した時点で首の痛みも確認するとまだ半減程度です。特に扁桃腺付近が腫れておりその周囲に痛みが残っています。
この時点で何かがおかしいと感じもう少し体の不具合を聞いてみると最近初めて不眠になったということがわかりました。
この情報が得られたことで、ホルモンバランスの乱れが自律神経にまで強く影響して結果首のリンパ付近が腫れるという流れが掴めました。
そこで次なる手を打つべく自律神経の昂りを抑えるツボに鍼をすると一気に扁桃やリンパの腫れが引いて痛みも消えました。と同時に頭のぼやっとした感覚も消えてすっきりとクリアになりました。
この治療結果から考えるとやはりホルモンバランスと自律神経の乱れからくる頭痛や首の痛み、不眠ということがよくわかります。
ホルモンや自律神経は体の機能をスムーズに働かせるために常に協調し合っています。そのため片方が乱れるともう一方で調整をして体の働きがスムーズに絶え間なく動くような仕組みになっています。
そのため今回の患者さんのようにピルでコントロールしているのにも関わらずホルモンバランスが乱れるという一見矛盾しているように思えることは、実はシンプルに考えると自分の体の自然な周期がありながらそれを強制的に薬剤で変えているために、ホルモンのコントロールは出来るがホルモンと同調している自律神経のコントロールまでは出来ないためホルモンと自律神経の協調性がなくなり体に不具合が起こります。
また扁桃は自律神経の状態がとても大きく反映されるためにストレスなどで交感神経が昂り過ぎてしまう状態が続くと扁桃やリンパが腫れたりすることはよく見られます。
ただそれらの体の状態が「ホルモンバランスや自律神経が乱れていますよ」と体が言ってくれる訳ではなく頭痛や関節の痛み、イライラ、不眠などの症状として現れるため自分で理解することが難しいのです。
今回もそうですが人によって体質や遺伝、環境などが全て異なるために、人を診て人を知るということが現場ではいかに大切かが毎回実感させられます。ひとまず今回の治療で結果を残せて良かったと思いました。