このような経験はありませんか?
- 胃がキリキリ痛む
- お腹が張って食事が楽しめない
- 病院でカメラまで受けたけど異常がなくストレスと言われて薬が出ただけ
- 病院での薬や市販薬を飲んでも胃もたれが良くならない
実は胃の不調は、胃そのものだけが問題ではありません。
ではなぜ胃の不調が薬などを飲んでも治らないのか解説していきます。
胃の働きは自律神経と深い関わりがある
胃が正常に働くには胃自体が元気であることに加えて、自律神経のバランスも重要です。
胃の機能は自律神経で主に調節されています。だから病院で検査して胃そのものに問題がなければストレスと言われるのです。
ただそこからが問題で、根本的に改善するならば胃に対して機能的な問題も解決しなければなりませんが、実際に病院で対応してくれるのは胃酸を抑える薬や粘膜を保護する薬が出るだけです。
これでは胃の機能を強制的に働かして、一時的に胃酸や胃の粘膜が分泌されているだけなので、薬を飲んで薬効がある時間だけ胃の調子が緩和されますが、根本的な改善をしているわけではありません。
ではどのように改善させていけば良いのか、さらにお話しします。
胃そのものが問題の場合
これは胃自体に問題がある場合のことをいいます。要は胃の病気です。
そのため胃に不調があればまずは病院で検査をしてください。検査は血液検査だけではなく、胃カメラで実際に中をみることが確実です。
そこで例えば胃潰瘍や胃炎、胃のポリープ、出血など特定の原因があればわかりますから、これらが見つかればその病気に対して効果的な薬を使いながら治療をすることが第一優先です。
それでも病気が治らない、あるいは病気自体が治っても症状が改善されないという時に、鍼灸治療と併用することを考慮します。
検査しても異常がない場合
これは機能的な問題です。
検査しても胃自体に問題がないにもかかわらず、症状が出るというのは自律神経のバランスが乱れています。
自律神経は胃酸分泌や胃の粘膜保護の指令を出していますので、ストレスなどで自律神経のバランスが乱れていると的確な指令が出せないため、胃の機能が正常に働かなくなり胃痛や胃もたれ、腹痛などを起こします。
これらのことを”機能性ディスペプシア”と呼び、日本人の15%が経験するというデータがあります。
機能性ディスペプシアとは
機能性ディスペプシアとは胃カメラなどの検査をしても異常が見つからないにも関わらず、胃痛、胃もたれ、腹痛などの不調が慢性的に続くことをいいます。
主にみられる症状としてはこのようなものがあります。
- 早期膨満感・・・少し食べただけで満腹になり、それ以上食べられない。
- 心窩部灼熱感・・・みぞおち周囲が焼けるように熱く感じる。
- 食後膨満感・・・食後いつまでもお腹が張って苦しい。
- 心窩部痛・・・みぞおち周囲が痛んだり苦しい。
これら以外にも、明らかな原因がない胃の不調は機能性ディスペプシアに該当すると考えて良いでしょう。
このような機能的に問題がある場合は薬で対処していても、根本的な体の機能を整えなければ改善しません。
ではどのようにして寿鍼灸院では治療をしているのかお話ししていきます。


当院での胃の不調に対する鍼灸治療
胃自体に問題がある場合
胃潰瘍や胃炎、ポリープなど胃自体に問題があり症状が起きている場合は、病院での治療と並行して鍼灸治療を行います。
まず第一目的としては原因となっている病気を治すこと。
例えば胃潰瘍があれば、胃潰瘍の薬を飲みながら、鍼灸治療では全身状態を整えて、場合によっては薬の副作用を緩和させながら胃潰瘍自体を改善させていきます。
それでもなお症状が改善しない時には、病気だけではなく機能的な問題も絡んでいるため、より自律神経の治療にフォーカスをして取り組んでいきます。
検査しても異常がない場合(機能性ディスペプシア)
このケースでは鍼灸治療が重宝されます。
鍼灸治療は基本的には原因のみえない、機能的な問題がある場合の症状に対して最も強みがあります。
当院では機能的な問題を西洋医学における科学的な視点と、東洋医学の視点両面から考えて適切な治療が施せるようにしています。
西洋医学的な見解
まず科学的な部分では、自律神経のバランスを整えて、血流を改善し、胃周囲の状態を回復させることを考えます。
ストレスがかかる状態が続くと自律神経のうちの交感神経の働きが昂ります。
交感神経は血管を収縮させる働きがあるため、血流を悪くさせます。
交感神経はその他、胃に対しても活動性を低下させるうえ、胃を保護する粘液の分泌量も減少します。
さらに交感神経優位に働きすぎていると、今度は副交感神経に切り替わった時に副交感神経が働きすぎて胃酸の分泌が過剰になりすぎてしまいます。
このような理由で自律神経が乱れると胃の不調を引き起こすため、まずは自律神経のバランスを整えられるような治療を行います。
東洋医学的な見解
東洋医学において胃は全ての臓器へ栄養や元気を送るとされています。
そのため胃が元気でないと他の臓器を養うことができないので、胃はとても重要視されていますし、鍼灸治療のある流派では何よりも胃の状態を改善させることを最優先するものもあります。
実際に当院の経験上でも、胃の不調は他の不調の原因になっていることを多く経験しているのでやはり胃はとても重要な位置付けです。
これは東洋医学で考えなくとも、私たちは生まれてから死ぬまで常に栄養を補給しないと生きていけません。
栄養を補給するにはまず食べることです。
食べたら胃で細かく消化されて、吸収されやすいようにします。
実際に栄養を吸収するのは主に腸ですが、吸収できる状態にしないと栄養を取り込めません。
そして栄養を取り込んだら、それらから体の筋肉や内臓、ホルモン、神経物質など生命を維持するために必要なものが作られます。
これを鑑みると、胃から全ては始まっているといっても過言ではないでしょう。
どのような治療をするのか
ここからは当院で行なっている胃痛や胃の不調、機能性ディスペプシアの鍼灸治療の流れをお伝えしていきます。
まず基本的な治療方法は胃自体に問題があってもなくても同じです。
ただし、胃自体に問題があるケースでは多くの場合薬も飲んでいるため基本的な治療に加えて、解毒や肝機能の回復を促す治療を追加します。
治癒力回復のスイッチを押す
皆さんの症状が治らないのは治癒力が低下している、あるいは機能していないからです。
そのためにまず初めに頭のツボを使って治癒力が発動するようにします。
治癒力が発動すると、最初に触診で確認した痛いところや硬いところが軽いものは全て取れていきます。
そして悪いところや深い部分だけが残るので、次に残った場所に対して効果的なツボを使いながら治療を進めていきます。
お腹の反応を取り除く
治癒力を発動させた後、まだお腹に残っている反応がどこの臓器なのかを確認して、それに対応する足のツボを使って鍼やお灸を施していきます。
胃の症状で反応が残りやすい場所は胃はもちろんのこと、多くは大腸、膵臓のことが多いです。
これもきちんとした理由があり、膵臓は酵素を分泌していますが胃の不調により消化しきれなかったものに対して相応の量の酵素を分泌します。そのため胃が悪い人は、膵臓がたくさん酵素を分泌する必要性があり働きすぎてしまいます。
大腸も胃の動きと連動して動く”胃ー大腸反射”という仕組みがあることに加えて、消化不良の食べ物が送られてくると腸で処理できるキャパを超えてしまいますし、胃液によって十分に殺菌されてないものがきたら腸内の悪玉菌が活発になりガスや下痢便秘を生じたり、腸を傷つけたりしてしまいます。
それらをお腹の情報から読み取り、適切な処置をすることで、その場でお腹の反応は改善します。
お腹の反応が改善すれば、体内の状態も連動して改善していきます。
首の状態を改善する
胃の不調なのになぜ首なの?と思われる方も多いと思いますが、実は首は自律神経の情報と内臓の情報の両方が反映されます。
首の後ろは主に内臓、横側は主に自律神経の働きが反映されるため、胃の不調があるとこれらの場所にコリや痛みも同時に出てきます。
首の後ろに関しては前記の内臓の状態を回復させることで同時に改善していきますが、横側に関しては自律神経と関連しているため、ここはまた別です。
自律神経を改善させるには手首のツボや足首のツボなど、その人の体質や状態によって使い分けながら最も効果的なツボを使用して改善させます。
きちんとツボに鍼が入ると、瞬時に首の横側の筋肉がほぐれます。
首の横側の筋肉が柔らかくなれば、それは自律神経の乱れも改善されたという証拠になります。
実際に首の横にある胸鎖乳突筋という筋肉は、他の筋肉とは異なり自律神経の指令を受けています。そのため自律神経が乱れると硬くなったり痛みが出たり顕著に反応が現れてきます。
これらの理由から、胃の不調といえども首の状態を改善させる必要があるのです。
(もっとも胃に不調を抱えている人のほとんどは、首にも症状を抱えています。特に左側に現れやすいです)
日常におけるアドバイスや、今後の治療計画を考える
お腹の反応や首の状態が治療前よりも改善していることを確認できたら、今回の治療を終えます。
そして全体的な反応や治療の効き具合をみて、どのくらいのペースや回数で治療をすれば改善していくかをお伝えします。
また症状を改善させるには日々の過ごし方も変えなければいけません。
胃の不調だけでなく全ての症状は、今までの悪い生活習慣が積み重なった証です。ここを変えないことにはいくら良い薬を飲もうが、良い治療を受けようがまたもとに戻ってしまい改善できません。
そこで個人個人に合わせた日常生活において気をつけるべきことをお伝えします。
例えば食事の摂り方や内容、運動、思考など様々な視点から考えて、無理なくできる現実的な範囲での養生を一緒に考えます。
毎日1時間歩いてくださいや、食事を一食にしてくださいなど、理想論では意味がありません。
それよりかは通勤時に少し早く出て遠回りして行き来する、間食は低GIの血糖値が上がりにくいものに変える、野菜を一品増やして炭水化物の量を少し減らすなど、無理せずできることを共に考えていきます。
治療と日常の養生を合わせることで相乗効果が生まれ、改善するスピードが段違いに早くなります。
当院の経験上での大まかなペース
当院の過去の経験上では以下の流れが多いです。
- 初診の治療を含めて3回は週に1回。
- その後は2週間に1度で3~5回。
- 最後に月に1度を2~3回。
- この時点で改善していれば卒業、あるいは月1のメンテナンスへ移行。
このような流れが一般的ですが、治癒力が高い人はもっと回数や期間が少なくても改善しますし、症状が重い人や生活習慣の改善ができない人はもっと時間がかかることもあります。
上記の流れは過去の治療経験での平均回数や期間なので、参考にしてみてください。


